これだけは知っておきたい和室のマナー3つの掟

日本人であれば、心得ておきたい和室でのマナー。
と言っても、決して堅苦しく考える必要はありません。

なぜこのようなマナーが必要なのかは、日本の文化や歴史背景を知ることで意外と簡単に理解できるようになります。

そしていちばん大切なのは、マナーが形だけのものではないということです。
マナーは本来、相手を尊重し思いを伝えることを第一の目的とするべきものです。

この記事では、これだけは知っておきたい和室のマナー、3つのポイントを紹介しています。
是非、本当の意味での「おもてなし文化」を実践してみてくださいね。

敷居や畳のヘリを踏まない

畳に縫い込んだ布の部分を畳縁(たたみべり)と言います。

絹や綿・麻などの生地を使い、畳表と畳床を合わせるために一緒に織り込んだものです。

和室では、この畳縁や敷居を踏まないことがマナーとされています。

理由は諸説ありますが、代表的なものを紹介しますね。

理由1)素材を大切に扱うための配慮

畳縁は、絹・綿・麻などの繊細な生地で仕立てられています。

踏んで傷むことがないように、さらにはデリケートな藍染などの染め物が摩擦によって色飛びしないようにという配慮から、縁は踏んではいけないとされてきました。

敷居も同じです。
敷居の場合は段差になっている場合も多く、傷みやすいのが現状です。

その家のものに傷をつけないように大切に扱うための配慮からできた、いたってシンプルではありますが大切な考え方ですね。

理由2)敷居や畳の縁は家の象徴である

「敷居が高い」「敷居をまたぐ」といわれるように、敷居はその家の象徴とされ、大切に扱われてきました。

同様に、畳縁も家や家人の格式を表すものとされてきました。


畳の縁をよく見ると、模様が描かれているのをご存知でしょうか。

現在は単色や単一な模様が一般的な畳縁ですが、かつては、家の家紋が描かれた紋縁(もんべり)が使われていました。

家紋はその家の顔であり、これを踏むことは大変失礼な行為となったわけです。

理由3)外と内を隔てる結界(境界)

敷居は部屋と廊下を隔てる結界(境界)、また、畳の縁もお客様と主人を分ける境、上座を下座を分ける堺目としての役割があります。

この結界を踏むことは、結界を重んじる空間様式を無視する行為とされてしまうのです。

理由4)武士が身を守るための心得

武士道の心得として、床下に潜む敵からいつ襲われてもいいように心構えが必要とされてきました。

敷居や畳と畳の間の隙間から差し込む光の加減で、床上にいる人の存在を察知し、隙間から刃物を差し込むという恐ろしいものです。

武士の時代は、たとえ家の中であっても己の身を守るためには必要な心得だったのです。

基本動作は低い姿勢で

和室では、会話はもちろん、挨拶やお土産を渡すことも座って行うのが基本です。

これは、美しい所作であることはもちろん、相手を見下ろさないという配慮でもあります。

特に座っている相手がいた場合、立ったまま話すのは上から見下ろす大変失礼な振る舞いです。


挨拶は、入口に地い場所か、座布団をすすめられた場合は、すぐに座布団に座らず座布団の横(下座側がよい)の畳に座って挨拶をします。


手土産があれば、このときに渡しましょう。
手土産は、風呂敷や紙袋から出し、両手で畳の上をすべらせるように押し出します。

紙袋などは持ち帰りましょう。

座布団の扱い方

座布団の成立は鎌倉時代ごろまで遡り、古くは権力者や高僧などの権力の象徴として用いられていました。

この名残りから、座布団はお客様を敬いもてなすものであり、それを受ける客側も礼儀を持って座布団を扱う必要があるのです。


座布団には、主人にすすめられてから座ります。

座布団は動かさず、正座のまま拳(こぶし)をつきながらにじり寄って座布団に移動します。

座布団から遠い場合は、一度立ち上がって座布団まで移動しますが、このとき決して座布団を踏みつけてはいけません。


立ち上がる際も同様です。
拳をついて畳に足がつくまで後ろににじり下がってから、立ち上がります。

下座上座を見分ける

和室に限らず、部屋には上座と下座があります。

部屋の形状によって違いますが、基本的な考え方をおさえておきましょう。

「上座」とは・・・
・部屋の入り口からいちばん遠い位置
・床の間を「背」にする位置
・庭の景観が見える位置

なかなか判断がつきにくい場合は、いちばん落ち着くと考えられる位置を上座としてかまいません。

ただし、客として招かれている場合でも、相手に無断で床の間の前に座るべきではありません。

まとめ

現在は、生活スタイルの変化から「和室」を設けない住宅も増えていますね。

少々寂しい気もしますが、だからこそ近年「和」の文化が改めて注目を集めているのかもしれません。
私自身も独身時代を振り返ると、住み慣れた実家を離れ改めて和室の良さを感じたことを覚えています。

日本人が大切にしてきた礼儀作法や所作には、それぞれ理由があります。
これを理解すると、決して堅苦しいだけのものではないと分かりますね。

マナーを考える際にはこうした意味を知っておくことと、何よりも相手を思う気持ちを表すことが大切です。