近頃は自分の字で手紙を書くことがすっかり少なくなってしまったなぁ、という方は多いことでしょう。
思い立ったらすぐ送信することができる電子メールやSNSはとても便利ですね。
ですが、このような電子メールやSNSは親しい間柄であればよいのですが、お世話になった恩師や上司、親戚など、特に目上の方には失礼にあたってしまう場合があります。
これらは便利である反面、「事務的である」と潜在的に思わせてしまう可能性があります。
そうなると、いくら丁寧な文章を打ち込んでも、こちら思いが伝わらないという残念なことになってしまいます。
もしくは、失礼になってはいけないと考えるあまり、手紙どころか電子メールを送ることさえも躊躇してしまう場合もあるかもしれませんね。
この記事では、あらたまった手紙を書く際に覚えておきたい手紙の基本を紹介しています。
基本的な構成を理解して、喜んでもらえる素敵な手紙を書けるようになりましょう。
手紙の基本的な構成
あくまでも大切なことは、相手を思う気持ちを手紙に乗せることです。
とはいえ、あらたまった手紙を書くときには、相手に対して失礼のないよう、正式なルールにのっとって書くのが望ましいでしょう。
以下の例文を使って、段落ごとに説明していきますね。
【縦書きの例】

【横書きの例】

前文

⓵ 頭語
あらたまった手紙を書く際には、頭語(とうご)と呼ばれる手紙文独特の冒頭語を使います。
頭語を使ったら必ず結語(⓼)がセットになります。
「拝啓」のほか、より丁寧な「謹啓」などもよく使われます。
「前略」は目上の方には使いません。
⓶ 時候のあいさつ
季節感を表す挨拶文です。
四季のある日本ならではの独特な表現方法です。
頭語から改行するか、頭語の下を1文字分あけて書き出してもかまいません。
⓷ 相手の安否
先方の安否をたずねる文を導入します。
久しく顔を見ていない相手に対して元気であるか「問う」ものと、
相手がつつがなく暮らしていることを「喜ぶ」ものがあります。
⓸ 自分の安否
自分の近況を簡潔に伝えましょう。
招待状や挨拶状、お悔やみなどの手紙には書きません。
⓹ お詫び・お礼
日頃のお礼や、久しく会っていない場合の挨拶です。
行を改めて書きます。
お礼状やお詫びが目的の手紙は、ここではふれず主文できちんと書くようにしましょう。
主文

⓺ 要件
改行し、「さて」「ところで」などの言葉を使い書き始めます。
簡潔明瞭にまとめ、主題である要件が伝わるようにしましょう。
末文

⓻ 結びの挨拶
手紙の文章を締めくくります。
時候の挨拶と対応させると、より丁寧な印象になります。
⓼ 結語
頭語(⓵)とセットで使われる結びの言葉です。
「拝啓」→「敬具」
「謹啓」→「謹言」
「前略」→「かしこ」など
改行して行末にそろえるか、結びの挨拶の最終行の行末に書きます。
後付

⑨ 日付
手紙を書いた日付を書きましょう。
行を改めて、末文の行頭から2,3文字下がった位置から書き始めます。
招待状や保存が必要なものには年号も入れましょう。
⓾ 署名
日付の下、もしくは改行し、行末をそろえて自分の名前を書きます。
必ず姓名(フルネーム)を書きましょう。
⑪ 宛名
署名の次の行に書きます。
書き出しは、日付より上になる位置に書きましょう。
敬称は忘れずにつけましょう。
副文

⑫ 追伸
書き足したいこと、主文で書き忘れたことを書きます。
「追伸」「二伸」「追って」などに続けます。
あくまでも添え書きなので短く簡潔にまとめましょう。
目上の方への手紙には、なるべく使わないほうがよいでしょう。
まとめ
このような時代だからこそ、実際に手紙をいただいたときはやはり嬉しいものです。
手紙そのものが嬉しいのはもちろんですが、手書きの文字や便せんからグッと相手を近くに感じることができます。
なによりこの手紙を書くために、貴重な時間をさいてくださったのだと思うととても嬉しいですね。
なかなか手紙を書くきっかけがないのよね、という方もいることでしょう。
相手にとっての節目や記念日、季節の贈答品やお礼など、普段は電話で済ませてしまいがちなことを、手紙にしてみるのもよいでしょう。
心を込めて手紙を書く手紙は、想像以上に喜ばれるものです。