日本茶にはさまざまな種類があり、美味しく飲むためにはそれぞれ最適な方法で淹れる必要があります。
お客様にお出しするためにせっかく上等な茶葉を購入しても、淹れ方を間違えてしまったために、お茶の持ち味である風味や旨みが台無しになってしまっては悲しいですね。
今回は、それぞれのお茶の葉に適したお茶の淹れ方を紹介します。
お茶を美味しく淹れるポイント

まずは、どんなお茶でも共通する美味しい淹れ方のポイントです。
お茶の種類の特性を理解する
お客様に出す上級なお茶か、
普段づかいのお茶か、
お菓子と一緒に出すのか、
食後に出すのか・・・
まずはお茶の特性を知って、使用するお茶を選びましょう。
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茶種に合った茶器を選ぶ
お茶を美味しく淹れるためには、お茶の種類に応じた茶器を選ぶことも大切です。
茶器は、お茶の香りや旨みを最大限に引き出してくれる道具です。
家にある茶器を使用したい場合は、茶器に合ったお茶の種類を知っておくといいですね。
適した水を使う
お茶の99%以上が水です。
いかに水が大事かおわかりいただけると思います。
お茶に最適なのは微酸性の「軟水」です。
日本の水はほとんど微酸性の「軟水」ですが、水道水には塩素が含まれているのでどうしても塩素臭(カルキ臭)が残ってしまいます。
市販のミネラルウォーターを使う場合は「軟水」を使いましょう。
外国産に多く見られるカルシウムやマグネシウムを多く含む「硬水」は、お茶を淹れるには不向きです。
お湯は必ず沸騰させる
お湯は必ず沸騰したお湯を使いましょう。
玉露など低温のお湯が適したお茶の場合も、必ず一度沸騰させたお湯を冷まして使います。
水道水は、沸騰し始めたらヤカンの蓋を外すか少しずらして3~5分ほど沸騰させ続けて塩素臭(カルキ臭)を飛ばしましょう。
適した茶量・湯量・湯温・浸出時間で
お茶を淹れる人数に応じて、茶葉の量やお湯の量を調節しましょう。
また、お茶を美味しく淹れるための適切なお湯の温度や浸出時間は、お茶の種類によって違います。
湯呑茶碗の濃さを均一に
お茶を淹れたとき、人数分の湯呑茶碗のお茶の濃さや湯量が均一になるようにしましょう。
そのために、お茶を注ぐ際にそれぞれの湯呑茶碗に少しずつ注ぎ分けます。
2~3回「まわし注ぎ」をして、最後は均一になるように調整します。
最後の一滴まで注ぎきる
一煎目に注いだ後、急須にお湯を残しておくとお茶の成分が出てしまうので、二煎目のお茶が濁ってしまったり美味しくなくなってしまいます。
ぜひとも最後の1滴までしっかり注ぎきってください。
この1滴に旨味の成分がつまっています。
「煎茶」の美味しい淹れ方

※普通煎茶は上級煎茶に比べ、旨み成分(アミノ酸)が少なく、渋み成分であるカテキンを多く含みます。
※深蒸し煎茶は浸出時間を半分にします。
煎茶の淹れ方手順
- お湯を、一旦人数分の湯呑茶碗に7~8分目ほど注ぐ。
(これはお湯の分量を図ることと、お湯を適温に冷ますためです) - 急須に茶葉を入れる。
- 湯呑茶碗のお湯を、急須に注ぎ入れる。
- 約1分間、蓋をして茶葉が開くまで待つ。
- 茶葉が開いたら好みの濃さに合わせて 急須を3~5回まわして均等に注ぎ分ける。
- 急須に残らないように、必ず最後の一滴までしぼるように注ぎきる。
「玉露」の美味しい淹れ方
玉露
・茶葉の量:10g
・湯の温度:50~60度
・湯の量 :60ml
・浸出時間:約2分
※玉露は低温でじっくりと旨味成分を引き出します。
玉露の淹れ方手順
- お湯を冷ます。
(湯さましに移して冷ますか、一旦湯呑茶碗に注いだお湯を急須に移し、さらに別の湯呑に移して適温まで湯温を下げます) - 急須に茶葉を入れる。
- 冷ましておいたお湯を、急須に注ぎ入れる。
- 約2分間、蓋をして茶葉が開くまで待つ。
- 少しずつ均等に注ぎ分けて、最後の1滴まで絞り切る。
「ほうじ茶」の美味しい淹れ方

ほうじ茶
・茶葉の量:10g
・湯の温度:90~100度
・湯の量 :400ml
・浸出時間:約30秒
※ほうじ茶は旨味や渋みの成分が少ないので高温でいれても風味が損なわれません。
逆に高温のお湯を使うことで、香ばしいほうじ茶独特の香りを引き出しましょう。
ほうじ茶の淹れ方手順
- 急須に茶葉を入れる。
- ポットややかんのお湯を、直接急須に注ぎ入れる。
- 約30秒間、蓋をして茶葉が開くまで待つ。
(濃い味がお好みの方は、浸出時間を長めにすると濃いお茶になります) - 均等に注ぎ分けて、最後の1滴まで絞り切る。
「新茶」の美味しい淹れ方
新茶
・茶葉の量:1人あたりティースプーン2杯程度
・湯の温度:70~80度
・湯の量 :150~200ml
・浸出時間:約40秒
※新茶は渋みや苦みが少なく、旨みとともに若葉のようなさわやかな香りを楽しむことができます。
新茶の淹れ方手順
- お湯を一旦人数分の湯呑茶碗に7~8分目ほど注ぐ。
- 急須に茶葉を入れる。
(茶葉の量は煎茶のときより少し多めにすると味わい深くなります) - 冷ましておいた湯呑茶碗のお湯を、急須に注ぎ入れる。
- 約40秒間待った後、急須を2~3回まわしてお茶の旨味を出す。
- 湯のみに少しずつ均等に注ぎ分け、最後の一滴まで絞り切る。
日本茶でおもてなし
お茶の特性を最大限に生かしたお茶の淹れ方をおすすめするのは、ただ「おいしく飲む」ためだけではありません。
渋み・苦み・旨みなどお茶の独特な味わいの中には、健康に良い成分がたくさん含まれています。
お茶の渋みの主成分である「カテキン」は、血中コレステロールの低下、体脂肪低下作用、抗酸化作用、がん予防、虫歯予防など、さまざまな効果が期待できます。
また、旨みの元である「アミノ酸(テアニン)」は脳の神経細胞を保護する働きが、「カフェイン」の作用には運動能力(持久力)の向上に効果があると考えられています。
今回紹介したお茶の淹れ方は、これらの成分を失うことなく飲むための淹れ方でもあります。
美味しいお茶を飲んでホッとしていただくと同時に、お客様の健康を思う心遣い♪
コーヒーや紅茶もいいですが、たまには日本茶でのおもてなしも喜ばれますよ^^
煎茶(上)
・茶葉の量:6g(1人あたり2g程度)
・湯の温度:70~80度
・湯の量 :170ml
・浸出時間:約90秒
※上級煎茶は旨み成分(アミノ酸)が豊富に含まれています。渋みを抑え旨みを充分に引き出すよう低温で淹れます。
煎茶(普通)
茶葉の量:6g
湯の温度:80~90度
湯の量 :260ml
浸出時間:約60秒