日本料理の種類~意外と知らない4つの料理~

ユネスコ無形文化遺産にも登録されている日本の食文化。
長い歴史の中で中国大陸や朝鮮半島、オランダ、ポルトガルといった欧米各国の影響を受けて伝えられてきました。

日本料理といっても種類は多く、懐石料理や精進料理などの伝統料理から、江戸料理・京料理など地域の料理、鴨料理・鳥料理といった食材料理など、「〇〇料理」と名の付くものを上げると数十種類にも及びます。

現在は一般的に、高級割烹店、料亭、ホテル、レストランなどで出される酒菜を主とした料理を指すことが多くなりました。

今日はその中でも代表的な4つの日本料理「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」「精進料理」を紹介しますね。

本膳料理

本膳料理の誕生は室町時代までさかのぼります。

もともと貴族社会が確立された平安時代に誕生した饗応料理(※)。
室町時代になると将軍・足利義政が、武家の厳格な儀式料理として食事作法を完成させました。

これが本膳料理の始まりであり、日本料理の基礎だと言われています。

ちょっと補足
※饗応料理とは?
「饗応(きょうおう)」とは、酒や料理を出してもてなすことです。
簡単に言えば、饗応料理は「おもてなし料理」ということですね。

本膳料理の特徴

本膳(ほんぜん)料理は、お膳は脚付き、食器は塗り物を用います。
お膳は「一の膳」から「七の膳」まであり、まず初めにご飯が出され、後に酒宴となります。

正式な本膳料理は、「式の膳」「饗の膳」という2つの形式で成り立っています。

  • 「式の膳」とは…三々九度の婚礼の杯事に行われる「式三献」で、現在も続く祝儀時の基本となっています。
  • 「饗の膳」とは…基本の一汁三菜から二汁五菜、三汁七菜とお膳の数が増え、しだいに豪華になります。
    これらが一度にずらりと並びます。

また、これらの本膳料理を簡略化したものを袱紗(ふくさ)料理と言います。
同じように、一汁三菜、二汁五菜などの膳組み(※)があります。

ちょっと補足
※「膳組み」とは?
お膳に乗せる料理は、どの料理をどこに置くかお膳ごとに決まっています。正しい位置に置くことを「膳組み」と言います。

袱紗料理の最小の構成は一汁三菜ですが、三の膳はお持ち帰り用です。
また、本膳から三の膳までの間は酒は出ず、この後、吸物膳が出てきます。

本来、本膳料理も袱紗料理も、食事を主体としたもので、酒はほんのたしなむ程度でした。

この吸物膳が次第に豪華になり「中酒」と呼ばれるようになると、中酒膳(吸物膳)を中心とした饗応膳に変化し、現在の会席料理(宴会料理)の形になってきたといわれています。

懐石料理(茶懐石)

「かいせきりょうり」と呼ばれるものには、「懐石料理」と「会席料理」があります。
ここでは「懐」に「石」と書く懐石料理の特徴についてお伝えしますね。
(「会席料理」についてはのちほど^^)

いわゆる高級料理店で出される料理が、この「懐石料理」であると思われがちです。

しかし、「懐」に「石」と書く懐石料理は、正式にはお茶事で濃茶をすすめる前に出す簡素な食事から生まれた料理形式です。「茶懐石」とも呼ばれています。

始まりは安土・桃山時代。
茶道の隆盛にともない、千利休が完成させたものです。

体を温める程度にお腹を満たす食事ですが、茶事を催す亭主(主人)が心を込めて手料理でもてなすのが本来の姿です。

豆知識
昔、朝昼2回しか食事をしない禅宗の修行僧が、を温めてに入れ寒さと空腹をしのいだ・・・これが「懐石」の語源だと言われています。

懐石料理の特徴

正式な懐石料理はお茶事の席ですすめる料理です
一汁・三菜・飯・向付・煮物・焼物が基本です。
本膳料理がすべての料理を同時に並べるのに対し、懐石料理は作りたてを一品ずつ出します。


亭主(主人)は心を込めて調理し、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たく、食材も旬のもの使い季節感を出します。
詫び寂びを大切にする茶人好みにして、簡略、実用美を伴い、味は薄味です。

後に出すお茶事の濃茶の味を損ねないようにするのが大切なポイントです。

簡素ではあっても心を込めて客人をもてなすことが懐石料理の大きな特徴です。

茶事で出される懐石料理(茶懐石)

  • 向付(お造り)
  • ご飯(白飯)
  • 汁(味噌仕立て)
  • 煮物椀(椀盛)
  • 焼物
  • 強肴(しいざかな、預け鉢などともいう)
  • 箸洗(小吸物)
  • 八寸
  • 湯斗(ゆとう、湯桶ともいう)
  • 主菓子
  • 濃茶
  • 薄茶(干菓子)

精進料理

鎌倉時代、禅宗を広めた道元禅師、栄西禅師が中国の禅寺から持ち帰ったのが始まりといわれています。

寺院の食事や仏事の際の料理としてだされ、「美食を戒め粗食をいただき、精進する」という仏教思想を基本としています。

精進料理の特徴

「本膳料理」「懐石料理」などは料理の形態を表すのに対し、「精進料理」は料理の素材や内容を示しています。

仏教の殺生を禁ずる考えに基づいているので、肉や魚(生臭物と呼ばれる)は使用しません。
主な食材は、大豆・豆腐・湯葉などの大豆食品、乾物、野菜類、胡麻、海藻類、穀類などです。

大豆から加工される味噌や豆腐、醤油などをはじめ、現在の日本料理はすべて精進料理から大きな影響を受けています。


精進料理でもっとも格式が高いのは、本膳形式の精進料理で朱塗りの家具(皆具とも書く)を使用します。


代表的な精進料理

  1. 永平寺流…道元禅師(曹洞宗)
         日本の家庭料理の原型
  2. 大徳寺流…栄西禅師(臨済宗)
         茶道と縁が深い
  3. 万福寺流…隠元禅師(黄檗宗)
         普茶料理とも言われる。
         銘々膳ではなく中国料理のようにテーブルを囲んで各自の器に取り分ける
         煎茶道の懐石に取り入れられている

会席料理

同じ読み方でも、懐石料理がお茶事における簡素な軽食なものである一方、「会」「席」と書く会席料理はお酒を楽しむための料理です。

江戸時代の中期頃から酒宴向きの饗応料理として始まり、現在では冠婚葬祭や宴会、一般の会食で目にすることが多い料理です。
私たちが日頃から親しんでいる日本料理は、ほとんどがこの会席料理といっていいでしょう。

会席料理の特徴

会席料理はほかと違い、厳格な膳組みや食事作法はありません。
お酒を楽しみ、味を楽しみ、くつろいでいただけるところが大きな特徴です。

四季折々の食材を使うのは他の料理と同じですが、会席料理は伝統を大切にしながら、その中でも料理人の自由な発想が活かされる現代の料理といえます。


会席料理には、料理の多くを同時に並べて提供する「宴会料理」と、料理を一品ずつ提供する「喰切形式」があります。


~料理提供の流れ~

  1. 先付
  2. 前菜
  3. 吸い物
  4. お造り
  5. 焼き物
  6. 煮物
  7. 揚げ物
  8. 蒸し物
  9. 酢の物
  10. 食事(ご飯・止椀・香の物)
  11. 水菓子


料亭、ホテルの日本料理店、割烹などの一般の会食をはじめ、冠婚葬祭や各種宴会など・・・
現在では、会席料理が日本料理の主流となっていますね。

会席料理には、本膳料理や懐石料理などのような厳格な決まりがありません。
だからこそ、料理人のこだわりやお店の個性が出ます。
「この店だからこそ味わえる」といったお店のこだわりを知ると、お料理がより一層楽しめるでしょう。

まとめ


ざっとおさらい^^
  1. 本膳料理▶武家の儀式料理として誕生し、現在の日本料理の基礎となった。
  2. 懐石料理▶お茶事の濃茶をいただく前に出される簡素な食事。
  3. 精進料理▶仏教思想を基本とした、寺院の食事や仏事の際の料理。
  4. 会席料理▶お酒を楽しむための肴として、料理人の自由な発想が活かされる現代の料理。

それぞれに大きな特徴があることがお分かりになると思います。

これらに共通している、日本料理の季節感や食材の味わいを最大限に生かした調理法、そして客人をもてなす心・・・長い歴史を経て培われてきた日本の食文化は私たちの誇りですね。


こういった日本の食文化は、味や見た目だけでなく、日本が長寿国であることからも健康食として世界からも注目されています。

現在は、日本にいながら世界各国の料理を食べることができます。
日本食離れなどと言われていますが、こうして日本料理の歴史背景や意味を知ることで、改めて日本食の良さを再認識していただけたら幸いです。