もうすぐ雛祭り♪
上巳の節句とも呼ばれ、女の子の成長を祝う年中行事です。
この雛祭り、是非とも家族でお祝いしながら行事食を楽しみたいというご家庭も多いことでしょう。
この記事では、雛祭りで食べられている食べ物と、その食べ物の由来や意味を紹介しています。
ひな祭りといえばこれ!定番の食べ物
ひな祭りの時期が近づくと、スーパーなどでも見かける定番の食べ物です。
なぜ食べるの?という疑問も、由来や意味を知ることで、家族の幸せを思う願いや祈りが込められていることが分かります。
菱餅

菱餅は、赤(ピンク)・白・緑の3色の菱形の餅が重なったものが一般的ですね。
地方によってその形は異なり、2色、5色、7色になっている餅を菱形に切って重ねて作る地域もあるようです。
菱餅は元来、“菱の実”を粉にしてついた餅で、現在一般的な形である三色になったのは明治以降とされています。
それぞれの色の意味は次の通り・・・
- 赤(ピンク)…桃の節句にちなんだ桃色には、「魔除け」の意味があります。
また、解毒作用がある山梔子の実で色付けすることで健康を祝うためであったとも 言われています。 - 白・・・穢れのない清らかさや清浄を表し、無業息災と長寿への願いが込められています。
- 緑・・・邪気を祓うとされる蓬(よもぎ)が使われます。また、蓬には増血効果があり、健康、長 寿を願うという意味も込めらています。
菱の葉の形(菱形)は古くから縁起が良いとされてきましたが、菱餅の形の由来には数々の説があります。
例えば・・・
・菱形が「大地」を表す説
・女性を象徴する形だから説。
・菱餅の起源が宮中で正月に食べられる菱葩餅だった説。
・菱の繁殖力の高さから子孫繁栄を願った説
・菱の実を食べて千年長生きしたという仙人にちなんでご長寿願い説
・室町時代の足利家に菱形の餅を食べる習慣があった説。
・礼法で知られる小笠原氏の家紋、三蓋菱をかたどった説・・・
また、インドの故事にちなんでいるという説もあります。重なる川の氾濫を鎮めるため、龍神への人身御供に娘を差し出すよう命じられた夫婦が、子どもの味がするとされる“菱の実”をかわりに捧げ、幼い少女の命を救ったというものです。
さらには、菱餅の形は、人間の心臓をかたどったものという説もあります。
この通り、はっきりした由来は分かりません。
個人的には、菱餅が元来「菱の実」を使って作られていたことが事実であれば、植物のヒシを模しているという理由がいちばんしっくりきます^^
ちなみにヒシは池や沼に自生する水草で、「菱形」とはこのヒシにちなんだ名前ですが、葉は三角状の菱形、棘(トゲ)のある実を横から見ると菱形に近い形をしています。名前の由来となったのは、これもまた“葉”と“果実”どちらの説もあるようです。
江戸時代の農業百科事典『成形図説』(1804)
(引用:Wikipedia)
雛あられ
雛霰(ひなあられ)とは、桃の節句(3月3日)に供えられる節句菓子です。
雛あられにも色が付けられていますね。
白色は雪、緑色は木々の芽、桃色は生命を表していると言われています。
また、地域によっても違いがあります。
関東のものは、「うるち米」を原料としており、砂糖で甘味を付けています。着色はあられに着色するか、色付きの砂糖をあられにかける場合もあります。
一方、関西地方の雛あられの原料には「もち米」が使われ、1㎝程度の丸い形状のものが一般的です。塩や醤油で味付けされており、桃色は海老、緑は青のりなどを使って色付けされています。
変わったところでは、名古屋圏に、円柱形のもの、丸いものがあります。
一般的には甘い味付けですが、マヨネーズ味のあられが入っているものもあります。
ちらし寿司

彩鮮やかで、お祝いの食卓にぴったりなちらし寿司。
ひな祭りにちらし寿司を食べるようになった由来は、はっきりとは分かっていません。
ですが、ちらし寿司にも、縁起の良い具材がたくさん盛り付けられていますので紹介します。
- 鮭(いくら)・・・鮭はたくさん卵を産むのため「子孫繁栄」への願いが込められます。
- 海老・・・目が出ていることから「めでたい」とされ、腰を曲げていることが老人の姿に見えることから長寿を願います。
- れんこん・・・たくさん穴が開いていることから、先の見通しが良いようにと願います。
- 豆・・・まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせるようにと願います。
縁起の良いとされる食べ物は、ひな祭りに限らず正月のお節料理やお祝い事など、さまざまな場面に登場します。
ひな祭りだから絶対「ちらし寿司」ということではなく、小さなお子さんであれば海老フライなど、食材を上手に取り入れてもいいですね。
蛤(はまぐり)のお吸い物

蛤(はまぐり)は、左右の貝殻がぴったりと合うことから「夫婦和合」に通じるとされてきました。
女の子の幸せな結婚生活を願って食べられる料理ですね。
この蛤を使った遊びに、平安時代から受け継がれてきた「貝合わせ」というものがあります。
貝合わせは本来、貝の形・色合い・大きさ・種類の豊富さなど、美しさや珍しさを愛でて優劣を競う貴族の遊びでした。
これとは別に平安時代末期頃から、現代の私たちにもなんとなく馴染みのある貝殻を合わせる遊びが始まります。
360個ものハマグリを使い、左貝(出貝、だしがい)と右貝(地貝、じがい)に分け、出貝に合う地貝を多く見つけ出した人が勝ちです。トランプで言う神経衰弱のようなものでしょうか。
もともとこの遊びは「貝覆い(かいおおい)」と呼ばれていましたが、「貝を合わせる」という意味合いや所作から、こちらも「貝合わせ」と呼ばれるようになったようです。
白酒・甘酒

白酒(しろざけ)・甘酒は、雛祭りを祝って飲まれる飲み物です。
古代中国では、邪気を祓うとされた桃の花を白酒に入れて「桃花酒(とうかしゅ)」として飲んだといわれています。
日本で現在のような白酒が、ひな祭りのお供えとして扱われるようになったのは江戸時代。
平安時代からの風習だった上巳(桃の節句)には、室町時代になると桃の花を浸したお酒が飲まれ、これが変化して現在のような形になったと考えられています。
白酒は、焼酎やみりんにもち米、麹を加えて熟成させ、すりつぶして作られるお酒です。アルコール分は約9%、糖質は約45%含まれ、酒税法ではリキュール類に分類されています。
残念ながらお子様は飲むことができませんので、アルコール分を含まない甘酒が代用されます。
まとめ
伝統的な行事食も、その由来や意味を知ると、今も昔も変わらない家族や人を思う気持ちが色濃く反映されているのが分かります。
今回のひな祭りの食べ物もその中の一つ。
女の子の成長と幸せを祝うものとされてはいますが、女子のいない(私以外)我が家でも、季節を感じ、家族が集まる特別な食卓として大切にしていきたいと思います。