私たち日本人の食生活に欠かせない箸。
箸の正しい持ち方や使い方を身に付けることは、美しい所作のためだけでなく、箸を扱いやすく、料理を食べやすくしてくれるというメリットもあります。
この記事を訪問してくださった皆さんは、正しい箸の持ち方や箸使いが必要だと感じていらっしゃるはずです。
お子さんがいるご家庭では、正しい持ち方や使い方を身に付けさせたいと思いますよね。
また、大人になってから人に指摘され、はじめて自分の箸の持ち方が正しくないということに気が付く方も少なくありません。
一度ついてしまった箸づかいの癖を直すことは難しいのでは?
と、あきらめモードな方も、意識して取り組むことで必ず直すことができます。
箸づかいの作法は一生もの。
この機会に、是非とも正しい箸の持ち方・使い方をマスターしましょう。
正しい箸の持ち方・動かし方
正しい箸の持ち方をできるだけ分かりやすく、画像を使って解説していきますね。
箸の正しい持ち方
①
箸を持つポジションを、1本ずつ確認してみましょう。
まず、1本を手に取り、その箸の右から三分の一くらいの位置で、親指の付け根から薬指の第一関節のあたりに渡すように乗せます。さらに親指で押さえて固定します。
これが下にくる方の箸の位置ですので覚えておいてください。
②
もう1本は、人差し指と中指、親指も添えて持ちます。
ちょうどペンを握るようなイメージです。
1本ずつ持つ要領がわかったら、もう一度、下になる方の箸をもってください(写真①)。
さらに下の1本を固定したまま、上の1本(写真②)を持ってみましょう。

これが、箸の正しい持ち方です。
箸の動かし方
箸を正しく持つことができたら、動かし方を練習してみましょう。
動かす箸は、上になっている箸です。
下の箸は固定したままで、意識して動かすことはしません。
鉛筆を持つように3本の指で持った上の箸だけを、開いたり閉じたりして食べ物をはさみます。
箸の持ち方を直したい方にとっては、最初は使いづらく感じるかもしれません。
つい使いやすい持ち方に戻してしまいたくなりますが、ここはグッと我慢!
必ず慣れる日がきますから、根気よく続けてみてください。
正しい持ち方をマスターすれば、美しいだけではなく、小さなものや食べにくいものも扱いやすくなりますよ
割り箸の扱い
箸袋は、その人のために用意したという意味で、ほかの人の手に触れないよう配慮されたものです。
現在では、衛生面からも割り箸は安心して使えますね。
割り箸の扱いにも、美しく見える正しい所作があります。
箸袋の扱い方
① 右手に割りばしを取り上げ、左手で箸袋を受けるように持ちます。

② 右手で箸を抜き出したら、箸はいったん箸置きに置きます。
③ 箸袋はお膳の左側(折敷の場合は左脇外)に、口を向こう側に向けて縦に置きます。(輪が手前になります)

高級理料理店などでは、両端が細くなっている利休箸を、巻紙で留めてあることがあります。
巻紙から抜けにくいときは、箸を1本ずつずらすと抜けやすくなります。
割り箸の割り方

割り箸は横に寝かせ、扇を開く要領で押し開くように割ります。
やってしまいがちなのはが、割り箸を縦に持ち、両肘を張ってバシッと割る方法です。
これは危険をおかさないための周りの方への配慮です。
割り箸を割るだけで危険?と少々おおげさに感じるかもしませんが、肘を張ったタイミングでちょうど飲み物が運ばれてきた場合などは確かに危険です。
さらに、写真では分かりやすいようにテーブルの上で割っていますが、実際には箸をひざの上あたりまで下ろし、テーブルより低い位置で静かに割るのが正しいマナーです。
食事が終わったら箸袋に箸を戻し、箸袋の端を少し折っておきます。
こうすることで、箸が使用済みである目印となります。
箸袋がなかったり、箸袋を箸置き代わりにしてしまった場合は、箸先を懐紙で簡単に巻いておくのもいいですね。
箸置きの扱い

箸先がお膳や折敷、テーブルなどに直接触れないようにするために使われるのが箸置きです。
箸置きに箸を置くときには、箸先一寸(約3㎝)ほど箸置きより先に出るように置きます。
これは、正しい箸使いにおいて、箸を使ってよいのは、箸先五分(約1.5㎝)から一寸までとされているためです。
料理をつかんだり口に触れるこの部分が、箸置きに触れないようにするためです。
箸置きがない場合は、箸袋を代用したり、お膳の縁にかけて箸先がお膳に直接触れないようにします。
食事中、つい器に箸を乗せてしまいがち。ですが、これは「渡し橋」といって箸使いのタブーとされているんですよ。
美しい箸の扱い方
ここからは正しい箸の扱い方の基本を紹介します。
少しかしこまった、美しい所作です。
普段の食卓や、気心の知れた仲間内ではここまで徹底する必要はありませんが、正しい所作を知っておくことは、今後の様々なお付き合いの中でとても役に立ちます。
箸の取り上げ方
① そろえた箸の中央を、親指・人差し指・中指で上から持ち、取り上げます。

② 左手で、下から受けるように持ちます。

③ 左手で箸を支えたまま、右手を箸に沿ってすべらせ下に回します。

④ 手のひらを返し、下から受けるように持ちかえます。
右手の親指を、箸の右から三分の一くらいの位置で止め、箸の間に中指を入れて正しく持ちます。

箸の置き方
箸の置き方は、取り上げたときと逆の動作です。
① 左手を箸の下に添えて受け、右手を箸に沿って右へ滑らせます。
② 右手を上に回し、上から箸の中央を持ち、左手を離します。
③ 右手で箸置きの上に置きます。
美しい箸使いは、気持ちよく食事をしていただくための、他者への思いやりでもありますね。
まとめ
正しい箸の持ち方から箸づかいの基本を説明しました。
普段づかいでは、少し窮屈に感じるものもあったかもしれませんね。
あくまでも食事は楽しくいただくものですから、所作を気にするあまり食事を楽しめなくなっては元も子もありません。
ですが、食事に招待されたときや、かしこまった席でも自然とふるまうことができるよう、普段からできるようにしておくことは大切です。
そしてもう一つ大切なことがあります。
箸は日本人である私たちの礼儀作法の基本です。
ですが、他人の所作が間違っていたからといって、そこに目を向けるのは間違いです。
マナーは人を思いやることから生まれる行動の表れであり、自分が人に求めるものではないからです。
美しい所作を通じて創られる豊かな時間。
箸の持ち方ひとつから意識してみましょう♪